今回は、お天気情報サービスを提供する株式会社ウェザーニューズを取り上げます。各地で甚大な災害や、データ主義の会社の増加、スマホの普及による個人客の増加など、ウェザーニューズには追い風と思われます。まさか経営ですから風任せということはないでしょう。
企業分析を総覧
2015年~2019年5月期までの5年間を分析しました。
企業力総合評価は成長曲線です。171.94 →171.79 →171.45 →171.15 →170.28ポイントと4年で1.66ポイント連続悪化しています。その原因は悪化した親指標・生産効率と特定できます。
ウェザーニューズのような優良企業を読み解く時、ほぼ全ての財務諸表分析指標が高位の為、読み解く鍵が手に入りません。このような時は時系列分析から原因を捕捉するのです。
悪化している生産性をどう読むか
生産効率の各下位指標のグラフです。
従業員数が増加トレンドの中で、1人当たり売上高が減少しています。売上高増加<従業員増加が原因です。
10年前なら、売上高増加>従業員増加であるべきという意見が当然であったかもしれませんが、少子高齢化による人材不足を見越して、積極的な人材獲得を志向しているとも読めます。
連続悪化が戦略的人材獲得なのか、単に1人当たり売上高を見ていないだけなのは、会社に聞いてみる他ありません。前者であれば、経営計画の分析が必要になります。
従業員数が増加すれば人件費も増えます。営業効率親指標(儲かるかの評価指標)のジワリとした悪化はこのせいでしょう。
生産性悪化が営業効率へ循環する
売上高が増収トレンドの中で売上高総利益率が悪化、売上高販管費率が高くなっているため、売上高営業利益率は4年間で11.5%(23.50%→12.00%)も悪化しています。先に仮説をたてた人件費の増加の一部は販売費及び一般管理費に含まれます。売上高販管比率の悪化4.52%(19.28%→23.80%)のうち2.2%は従業員増加が原因です。
ウェザーニューズは、サービスを作り出す従業員の給与などは売上原価に含めるので、売上高総利益率の悪化も従業員の増加によるようです。売上高総利益率は8.43%(44.23%→35.80%)も悪化しており、人件費以外にも何等かのコストがかなり膨らんできていることが推測できます。
貴方なら、次に何を調べますか。企業の経営状況を読む場合、1つの指標の良し悪しより、その指標がどこにどう波及するかまで読む必要があります。
まとめ
時折じわじわ悪化している指標が、戦略的にやったのか、気付かないでそうなったのか、同じ動きでも全く意味が違います。
また、財務分析指標は相互に影響しあいます。善循環なのか悪循環なのか、始まりなのか、もう始まっているのかを読む必要があります。
編集後記 油断するとじわじわと体重が増えます。「戦略的に太っています。」と胸を張って言ってやろう!と決意しました。 (^_-)☆ 文責JY 〒541-0052 大阪市中央区安土町1-6-19 プロパレス安土町ビル7階D号 株式会社 SPLENDID21 tel 06-6264-4626 fax 06-4964-4164 info@sp-21.co.jp https://sp-21.com |
SPLENDID21NEWS第168号【2019年11月15日発行】をA3用紙でご覧になりたい方は下記をクリックしてください。
吾輩は猫である。名前はまだない。どこで生れたか頓と見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でニャーニャー泣いていた事だけは記憶している。